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卵子凍結について

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健康な女性であっても年齢を重ねると、卵子の数が減って質も低下することから、妊娠しにくくなることがわかっています。今すぐ妊娠出産の予定のない女性が、将来の妊娠に備えてより若いうちに卵子を凍結保存することを、ノンメディカル卵子凍結と呼びます。しかし、卵子凍結は将来の妊娠・出産を約束するものではありません。妊娠・出産の成功率は高いとはいえず、妊娠出産時期が高年齢となった場合、母体と赤ちゃん双方へのリスクが高まる現実もあります。また凍結卵子を用いて妊娠を目指す場合は生殖補助医療が必要になります。
卵子凍結をお考えの方は、まず「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ(日本産科婦人科学会)」をご覧になってください。

当院におけるノンメディカル卵子凍結の対象者

43歳未満で、現時点で結婚・出産の予定はないが、いずれ子どもを産みたいと考えている女性
排卵誘発剤の使用や採卵術が可能な健康状態の方

以下の方は対象となりません。

高血圧、精神疾患、抗凝固剤の使用中、失神やけいれんの既往がある方等
その他疾患等により、排卵誘発剤使用や採卵手術が困難であると医師が判断した方
高度の肥満、痩せ型の方(BMI30以上、または16以下)

卵子保存期限 : 50歳の誕生日まで

卵子凍結保管方法

当院は、セルソース社の卵子凍結保管サービス『卵子凍結あんしんバンク™』と提携しています。『卵子凍結あんしんバンク™』、あるいは当院による保管をご選択ください。

感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV)のある方は『卵子凍結あんしんバンク™』を選択することはできません。
当院保管選択時の留意点:当院における凍結配偶子・胚の管理運用に準じて行います。現在、1年更新・更新料年38500円(税込み)ですが、今後、運用方法や更新料などが変更となる可能性があります。不慮の事故や災害(火災や地震等)により卵子が滅失する可能性、やむを得ない理由(医師急死や感染症の蔓延等)で閉院となり、卵子の保管継続ができなくなる可能性があります。原則として事前に連絡し、他院へ移送手続を行う等、できる限りの対応を致しますが、ご自身で移送先を探していただく可能性もあります。

卵子凍結のメリット

より若い年齢での卵子を凍結保存することで、将来の不妊治療の成功率が上がることが期待できます。
ライフプランニングに沿って子どもを持つ時期を選択することが可能となります。

卵子凍結のデメリットや課題

排卵誘発剤による過排卵刺激を行った場合、時に腹水や胸水がたまり、血栓症リスクを伴う卵巣過剰刺激症候群のため入院加療を要することがあります。
採卵の際に麻酔や鎮痛剤などの薬剤を使用した場合、麻酔ショックや薬剤アレルギーなど、通常の手術と同様のリスクを伴います。
経膣超音波で確認しながら腹腔内にある卵巣に針を刺して卵子を採取します。この際、腹腔内出血や臓器損傷を起こし、まれに観察入院や外科手術を要することがあります。また、採卵後に感染や発熱を起こし治療を要することがあります。
超音波検査時の発育卵胞数と採卵できる卵子の数が同数とは限りません。時には卵子が1つも採取できないことがあります。また、採卵できても変性した卵子や未熟な卵子などのため凍結できない場合があります(このような場合でも採卵に要した費用は発生します。)
採卵直前に排卵が起こり採卵できないことがあります(この場合の採卵費用は発生しません。それまでの準備に要した費用は発生します。)
凍結卵子が解凍後に生存しない場合があります(この場合、それまでに要した費用の返金はありません。)
融解した卵子が生存していても、受精しない場合、受精しても培養過程で死滅して移植できない場合があります。
卵子数が少ない場合、妊娠出産の確率は低めとなります。そのため多くの卵子を凍結できる方が有利ですが、排卵誘発をしても、年齢が上昇、卵巣予備能が低下するに従い、1回の採卵で採れる卵子の数は減少します。

年齢別・卵子数別の、少なくとも1人の赤ちゃんを持てる確率

年齢 10個 20個 30個 40個
28歳 80% 94%
34歳 75% 91% 95%
37歳 53% 75% 87% 92%
40歳 30% 52% 65% 76%
42歳 21% 36% 49% 60%
44歳 7% 15% 21% 26%

Goldman R.H et al.Hum Reprod.2017.32853-859より

初診申し込みから卵子凍結保存までのスケジュール

申込→初診→卵巣刺激→採卵→凍結保存 申込→初診→卵巣刺激→採卵→凍結保存

❶ 申し込みから初受診まで

HPの「卵子凍結申込」予約フォームよりお申込みください。受診日の相談のため、当院より連絡させていただきます。
受診日までに「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ(日本産科婦人科学会)」をご覧いただきます。

❷ 初診時

当院問診表の記載
医師による問診、診察(経腟超音波、血圧・体重測定など)
スクリーニング採血(AMH、感染症、その他健康状態に関する項目)
動画の内容理解度確認、ノンメディカル卵子凍結の対象者であるかの確認
凍結保存方法に関する説明
同意書等の書類一式のお渡し

❸ 初診から約2週間後

検査結果のご報告、超音波診察
ノンメディカル卵子凍結の対象者であるかの再確認
卵子凍結実施の意思再確認、実施を希望する場合は同意書の提出
凍結卵子の保存方法の確認
月経周期の確認、周期調整、卵巣刺激開始日の予約

❹ 卵巣刺激開始日から採卵まで

診察予約時間の1時間前に来院し、採血実施
医師診察にて、卵巣刺激スケジュールを決定
開始から約1週間後に来院、採血と診察
刺激継続、または2~3日後の採卵実施を判断。
刺激開始から採卵決定までの受診回数は2~4回程度ですが、卵巣の反応には個人差あり、あらかじめ受診日や採卵日を決めることはできません。
採卵手術日の緊急連絡先の確認

❺ 採卵当日

8時半に来院、午前中に採卵術を実施
術後ベッド上安静、術後診察ののち問題がなければ12時頃に帰宅。
静脈麻酔を行った場合、当日の車の運転はお控えください。
採卵当日に体調不良、発熱やインフルエンザ、コロナウイルスに罹患されている場合、採卵はキャンセルとなります。それまでに要した費用の返金はありません。体調には十分お気をつけください。

❻ 採卵から1週間後以降

術後診察を行い、卵巣等に異常所見がないか確認
結果報告書をお渡しします。(凍結した卵子の個数や状態)。
当院ではVitrification法を用いて卵子の凍結を行い液体窒素中で保存します。
Vitrification法を用いて凍結した卵子の解凍後の生存率は90%といわれています。
凍結保存方法、保存期間、保存の更新方法について再確認をします。

❼ 妊娠を希望される時

卵子保管保存先にご連絡(当院あるいはセルソース)
体外受精治療を行う施設に卵子を移送
融解し、パートナーの精子を用いて顕微授精。
受精した受精卵を、子宮に移植します。
凍結卵子の使用にあたっては、日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植の会告を適用

❽ 凍結保存卵子の破棄について

本人から破棄の意思が表明されるか、死亡された場合は破棄とする
凍結期間更新の連絡がない場合、更新料の支払いが滞った場合は廃棄となる
年齢が50歳をすぎた時点で、保存先から通知連絡の上破棄となる(通知が届いたかどうかの確認までは出来かねます)
電話番号